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井上ストラテジー

2008年10月14日 (火)

081014コメント

     催促相場が催促したものが、「金融機関に対する措置」であったのか、

「金融機関の株価に対する措置」であったのかがこれから試される。

     確かに金融機関に対して採りうる措置は全て採った。

     しかし、金融機関の株価に対して採りうる措置はまだある。

 欧米市場の上昇について今更詳述することもないが、米国世論云々の前にG7で公的資金注入を「行動計画」として約束した。これによって、先週述べたように「G7の後押し」を利用した最短のシナリオで事は運んだことになる。やはり大統領選などは待っていられなかった。

 “施策に逆らって市場が下落する”という歴史的な出来事であった「AIGショック」の時と違い、昨夜、素直に市場は反応した。しかし、問題はこの上昇の後、先週10/9に書いた時間軸でいう4の部分である。ここにおいて冷静に見ていかなくてはならないのは、先週10/10に述べた金融株の動向である。

 「昨日、モルガン・スタンレーは上昇したではないか」と言われる方もいらっしゃると思うが、これは邦銀の増資完了によるものである。つまりは、「公的資金が資本に入るリスク=株主責任が問われるリスク」が大きく減少したと市場が考えたことによるもので、個別要因である。では、JPモルガンは上昇したか?昨日は結果的に0.8%高と小幅な上昇にとどまり、ザラ場はマイナスの場面が目立ったのである。市場が大きく上昇するなか、少し気味の悪い下げであった。S&Pの業種別指数は10業種全てが上昇したが、上位にはディフェンシブな業種が目立ち、「金融」は6位と微妙な位置である。これからは先週紹介した、メットライフなどの保険株そしてJPモルガンなどの株価動向をやはり注意していかなくてはならない。「GSE2社の呪縛」は市場に根が深い。思えば、リーマンのことを夏前から「達磨落しの一番下」と書いてきた。それでも、当局が破綻させる可能性は実際には低いと思っていた。悪い表現をしてしまったと少し思っている。現在は、公的資金が資本に入ることによって、大手金融機関がここから弾き出されることはなくなったと考えられる。しかし、繰り返しになるが、問題は、上場は維持されても株主責任が問われることのリスクである。この部分は容易に解決されるものではなく、少なくともファンドや機関投資家の新規資金の振り向け先に金融株の現物は選ばれることはないと考えておいたほうが無難であろう。

 本日は新聞休刊日であるが、日経新聞が宅配号外を出すというので昨夜取材を受けた。弊社にはまだ届いておらず、その存在は分からないが、もし、コメントが引用されていたとしたら、真意は以上である。

2008年10月10日 (金)

081010 コメント(続き)

 日経平均のSQ値は豊田通商(8015)がストップ安の状態でどうやら8000円を微かに割り込んだ水準となったようである。日本市場はQUICKの端末などで「米政府は9日、公的資金による金融機関への資本注入の本格的な検討に入った。ブッシュ大統領は10日午前(日本時間11日夜)に金融危機への対応について声明を発表する」との報道がされたことによって、落ち着きを取り戻したかのように見えるが、今朝方配信した“二つの愚策”のうち特に後半の「金融株のカラ売り禁止解除による暴徒の増加」によって、昨日のコメントの③の部分の幅が小さくなることを覚悟しなくてはならない。なくなる可能性もある。昨夜のカラ売り禁止解除後の動きはとにかく凄まじかった。繰り返しになるが「公的資金が資本に直接注入されても、株主責任を問われるのではしょうがない、というGSEの呪縛」が暴徒化したカラ売りの背景にある。そして、それはしごく尤もである。

 そして、このことは④の期間において上値の重さに繋がってしまう。もう今までの経緯から「再度の金融株のカラ売り禁止」の施策は採れないのであろうか?そこまでヘッジファンドに気を遣う必要が一体どこにあるのであろうか、私には理解できない。

 大和生命が破綻した。80年代後半は「保険がとれなくても本社ビルの家賃で食べていかれるのではないか」と羨ましがられた会社である。有価証券の評価損が大きな破綻の理由という。さきほどブルーンバーグの取材にも答えたが、心配なのは年金である。別に同社の年金運用のことではなく、このレベルにまで日経平均が下落することによって、生保等に運用を委託している年金基金がますます運用を中止し、解散の方向を歩むのではないかという懸念である。無論1週間、1ヶ月、3ヶ月という短いタームで示現する材料ではない。しかし、今回の生保の破綻は年金運用においてもギリギリのレベルに指数が到達したことを意味しているのではないかという危惧を私に抱かせる。

 「群臣嘉賓燕をする」という鹿鳴の詩から名付け、外国人を思いっきりバブリーにもてなした鹿鳴館跡地を買い取った徴兵生命保険が大和生命の前身。オフサイトミーティングを国有化後にも高級ホテルで行ったAIGが叩かれている現在、完全に日米の金融機関にとって反面詩である。

081010米国市場コメント_概況

     “二つの愚策”により暴徒が増加。

     引け2時間で400ドルの急落。

  

ポールソン財務長官が公的資金を金融機関へ直接注入することを示唆した発言を行ったことが伝わったのは昨日の日本市場の後場。一時的に上昇した相場がその後下落した市場の反応が正しかったことを昨日のNY市場は証明してしまった。

一つ目の愚策、「ポールソン発言」。“真意”ではなく“品位”を疑う。昨日書いた新聞の取り上げはNYタイムスが「公的資金の投入検討」の見出しをつけてくれたのに財務長官が勇み足、しかも「今回可決された金融安定化法案の金額には資本投入分も含まれていると解釈している」との仰天発言である。それはない。そんなことが許されるのは、クチを尖らせた言い合う子供だけである。前回の下院否決後、選挙区にトンボ帰りした議員が選挙民に理解を求めた部分に公的資金投入など絶対に入っていない。金融安定化法案とは別にきちんとした手順を踏んでセットでの有効性を訴えるのが筋であるのにこの発言。米国はSECの時価会計基準の二転三転のようなことをしておきながらも、このようなこと(ポールソン発言)は絶対に許さない国民性がある。つくづくカードの切り方が下手だと思う。

二つ目の愚策、「金融株のカラ売り規制解除」。月曜のNIKKEINETでもラジオNIKKEIでもジョインベスト証券でのセミナーでも述べたが、不安が的中してしまった。遂に恐怖指数は60の大台を超えて63.92まで上昇して引けた。モルガンスタンレーをはじめとして幅広く金融株がカラ売りを浴びた。NYSEの出来高は20億1400万株。一昨日に続いて20億株を超えたが、過去のデータから1割が信用売でカラ売りはそれ以上であると考えると、実株の売買は決して膨らんではいない。あっ、と思ったのが保険株の動き。メットライフなどが急落。最大のAIGが実質国有化されたわけで、2位以下がカラ売りを浴びるのは当然なのだ。ここで、今まで行ってきた施策の一つが大きくクローズアップされる。それはGSE2社への対応によって“既存の株主”が一定、というよりも膨大な責任を負ったという事実である。「上場維持か否かが焦点」と述べたが、結局責任の取らされ方は「りそな」ではなく「長銀・日債銀」に限りなく近い。また、「全ての金融機関が救われるという訳ではない」とのポールソン発言。“救われた”ところでGSE方式の責任の取らされ方をする以上、金融株にカラ売りの連想が働くのは当然。「金融株のカラ売り禁止解除」は新たな暴徒を増やしただけである。アメリカ、カナダ、中国以外のカラ売り規制実行国を列記。英国、オランダ、フランス、ドイツ、スペイン、スイス、ロシア、韓国、香港、台湾、オーストラリア。

尚、SGX(シンガポール)の日経平均先物は8090円で現在サーキットブレーカー発動中(井上)

2008年10月 9日 (木)

081009コメント

 協調利下げが行われた。そして、市場の反応は予想通りであった。昨日より日本でも「金融機関への資本の直接注入」の話が報道されている。私は昨日、大統領選など市場は待っていられないのではないかという趣旨のことを述べた。昨夜のNYもやはり最後の30分で大きく下げたように先物、現物を使った荒っぽい“売りで儲けることに慣れた手”が主役の相場は完全に実需から離れてゲーム化している。そして、その実需にあるものがファンドの売りだけならば、ゲームはますます乱暴なものとなってしまう。

 時間軸で整理してみよう。

①(現在)金融安定化法案、協調利下げなどは銀行の資金繰りという現在の不安心理の元凶に対して何も寄与しない。米国の公的資金の銀行への資本注入が決定されるまでは売り方安心相場が続く。金融安定化法案が決まったばかりでその買取りも行われていない段階での決定は世論を配慮しても有り得ない。大統領選もある。→②米国の公的資金の銀行への資本注入が決定→③買戻しによって株式相場一旦大きく上昇(LIBOR3ヶ月急低下)→④その後、恐怖指数(ボラティリティー)低下とともに景気と需給の綱引きといういつもの相場(ボックス)に回帰

という時間軸である。

 そして現在の最大のテーマが「②がいつ?」であるかなのだが、これについて、「年明け、新政権で」という見方が一般的なのに対して、私は「市場の暴力に耐えられなくなる」ことによって早まるのではないかと考えているのである。

 現在、米国当局が通常の手続きを踏んで法案を通すには、金融安定化法案の経緯を見る限り再度混乱を招く可能性が高い。世論に問う前に“後押し”が必要である。それは例えば「G7で米国の公的資金の銀行への資本注入を論議」などという大きな新聞の見出しである。決して「G7で金融安定への協議」などというものではない。これによって「諸外国からこれほど突き上げられているが、実際に混乱は米国金融が招いたものである。金融安定化法案という懲罰的なものに、銀行への資本注入というセーフティーネットをつけることによって初めて動揺が収まる。あくまでもセットでの運用が必要なのだ。」というメッセージを国民へ送ることができる。以前「2つのクライマックス」か何かで、GSE2社への資本注入が行われるであろうと予想した時に書いたが、WSJやNYタイムズなどの紙面に一斉に取り上げられたとき、その確度は高くなる。日経新聞の週末の見出しも要注意である。そして、市場(コンセンサス)は②の期間をグッと手前に引き寄せることになるのである。②の時期を前提とした①の時間を謳歌している現在の“売りで儲けることに慣れた手”がそこで止まる。

 果たして②が行われたとして③はあるのか?という質問に対する答えは「YES」である。LIBORは銀行債と国債(銀行保証と国の保証)のスプレッドであると考えれば必ずやそのスプレッドは縮小する。また、市場はもう当局に残された手だてはない、つまり催促する“アメ”が何もないことを充分に認識している。アメがない以上催促相場は起きない。そして④の時間帯へと移行するのである。

 米国当局は世論に問う背中を強く押してくれるものを待っている。

2008年10月 8日 (水)

081008コメント

昨夜はジョインベスト証券のオンラインセミナーをたくさんの方に見て頂いたようで感謝しております。ありがとうございました。初めてのことで、非常に戸惑い、途中で何を言っているか自分で分からなくなること度々でした。講演会で人の顔を見てお話しするのとの違いを実感しました。人と会って1時間半話すのは大丈夫ですが、留守電に1時間話し続けるような不思議な感覚でした。お聞き苦しい点が多々あったと思います。お詫びします。

 しかし、昨日のセミナーで「大統領選もあり、“公的資金の銀行資本への直接注入”には時間がかかるのではないか」というお話をしましたが、昨夜の米国、欧州市場を見ていて、そんなことは言っていられないことを実感しました。完全に市場はゲーム化しております。それもかつてない乱暴なゲームです。英国で政府中央銀行に対して資本注入の検討を依頼している金融グループがあるとの報道がされましたが、先週書いた欧州の金融機関の資金繰り悪化の高まりは急速に高まった、というよりも実質的に銀行間の取引は機能していません。米国の大統領選など市場は待ってくれない状態です。

 欧米の協調利下げが行われても、その後、先週の金融安定化法案可決後の市場の動きの二の舞となる可能性が高いことは既にコンセンサスとなっております。G7で協調体制が確認されても、米国がCPの買取りを発表しても、市場は「金融機関にとって有効なことでも分かりづらい小手先の施策」に対しては暴徒化した売りで対応することに慣れてしまいました求めているものは「公的資金の銀行資本への直接注入」の一点です。これに対して、現在は「世論の支持を得るまでには時間がかかる」との見方が支配的ですが、昨夜セミナーでお話ししたNYSEの時価総額の減少を前に本当に世論が反対するかどうかは分からない、というよりも、以前書いた「世界の3大アレルギー」のひとつである「米国の株安」が効いてくるのではないかと考えます。先日も書きましたように現在はストラテジーでなく現状分析を書くにとどめておりますが、繰り返しになりますが、暴徒化した市場が求めているものがただひとつで、それを抑えるために米国政府当局は迅速な決断を迫られる局面にきたと判断します。(申し添えますが、ストラテジストでこの「公的資金の銀行資本への直接注入」を次のポイントと述べられているのは、現在、三菱の藤戸さんを含めまだごく少数で、時期についても来年と述べられている方が多いようです。あくまでも私見としてお考え下さい。)

 昨日セミナーに寄せられた質問は私に送られてくるそうなので、お答えできるものにはお答えしていこうと思っています。猫ですが、私は猫も好きです。あまりにも子供の頃に刺されたのでハチが嫌いですが、それ以外は苦手な動物、昆虫、魚等いません。魚も飼っていますし、カブトムシを幼虫から成虫にかえすことにここ8年連続で成功しております。猫アレルギーは正確には猫上皮アレルギーです。猫は寄って来てくれるのですが、私の目はかゆみで真っ赤になり、目の中の下にある透明な管が腫れ上がって白目に出てくるという恐ろしい顔になってしまいます。因みに小林の実家は先日までペットショップを経営していました。

 他に金融に関する質問がいろいろあったと思うのですが、今はっきりと思い出せません。「犬、猫」と「東南アジア」と「G VS T直接対決」だけが妙に記憶に残っています。

2008年9月30日 (火)

080930米国市場コメント

先週木曜日に当ブログで米国市場が買い戻しによって戻りを試す展開というシナリオの修正を述べたが、昨日の午後のラジオで先週のシナリオのミスリードを詫びシナリオの訂正を述べた。週1回の出演であるが、これほど早く番組に出たいと感じたことはなかった。ラジオで述べたときの先物は午後にアジア株とGLOBEXの軟調な展開を受けて11870円レベル。昨夜のイブニング、シカゴで先物は11215円まで下落してしまった。

 先週木曜日、シナリオ変更の理由として、「出来高の急減という直接的な理由」の他に、「もうひとつの問題は、日本のバブル期の最終局面のように銀行に公的資金が直接投入されることを、次に市場(報道)が催促し始めているということであるが、これが実現される可能性は現状では非常に低い。この点において不良債権の切り離しとは関係なく金融機関(銀行)の倒産がまだ続くという見方を現状否定することはできない。実際にスプレッド市場の落ち着きはまだ見られず、銀行間の疑心暗鬼が生む貸し渋り(資金融通拒否)が現在の米国では改善されていない。そして、今回の施策が大きな財政赤字を生むことからドル安論議が高まっており、法案が可決されても、そのことが大きく株価を押し上げる状況にはないと言わざるを得ない。」と述べた。この部分は、金融安定化法案可決後にも市場が下落する可能性を述べたのであるが、昨夜の米国市場の777ドルの下げは、『「金融安定化法案が否決されたショック分」+「その後の不安の一部」』に分けて考えなくてはならない。そのため、再提出→可決というシナリオが今晩からテーマとなれば「金融安定化法案が否決されたショック分」は戻ることになる。そして、その後は「その後の不安の残りの部分」を市場が材料として吟味する時間帯に入ってくると思われる。それは、現在高い位置にいる、LIBOR3ヶ月金利と米国株のオプションのボラティリティーである恐怖指数の動向を見ながら判断しなくてはならない。法案再提出、カラ売り期間の延長後の更なる手として現在可能性が高いと客観的に判断されるのは、以前にも述べたが、利下げ(しかも、現在のドル不安を考えると「協調利下げ」)である。

 日本市場も、本来であればドレス期待があったであろう本日、大きな下げとなることは必至である。日中の動きも信用や先物整理に伴い、「朝安、その後前場戻しを試すも、午後12:30~1:00までに再度底値を取りに行き、その後やや戻るも動かなくなり大引け」という急落時のパターンがボラティリティー高く起きる可能性がある。参考までにサーキット・ブレーカー基準を載せる。

1)TOPIX

次の(a)から(c)までに掲げる場合には、先物取引を停止することができるものとします。

(a)当取引所が当該先物取引の状況に異常があると認める場合

(b)当取引所が取引監理上、当該先物取引を継続して行わせることが適当でないと認めた場合

(c)当該先物取引に係る売買システムの稼働に支障が生じた場合等において、当取引所が売買システムによる取引を継続して行わせることが困難であると認める場合

・ 当取引所は、限月取引の直前の約定指数(特別気配を含みます。)が、基準値段から一定幅を超えて上昇(又は下落)し、かつ、当該限月取引の理論価格から一定幅を超えて上方に(又は下方に)乖離している場合、15分間取引を一時中断することとします。

基準値段                基準値段からの変動幅   理論価格からの乖離幅

750 ポイント以上1,250 ポイント未満     100 ポイント超          20 ポイント

ストップは上下200ポイントです。

2)日経平均

基準値段からの変動幅が上下1000円 且つ 理論価格からの乖離幅が上下200円              

に該当した場合、15分間の取引の一時中断措置が取られます。 

ストップは上下2000円です。  

2008年9月25日 (木)

080925米国市場コメント

 今週のラジオで米国ダウは買い戻しで11750ドルくらいまでは一時的に戻れるのではないかと述べたが、早くも修正が必要な状況となってしまった。金融安定化法案を巡る議会とのやりとりが注目されているが、「総論=賛成、各論=反対」で議会を通らなかったことは日米ともに私の記憶にない。法案は議会を通ると思われそのことに問題はないが、私が今週の相場で最も驚いているのが、米国NYSEの出来高である。先週末(金曜日)は金融安定化策の発表により大きく相場が上昇したこととSQの影響もあって29億株にまで達したが、その後、今週の3日間の出来高は12.7億株、11.5億株、10.8億株と閑散の一語に尽きる。19銘柄のカラ売り規制解除後に8月いっぱい続いた夏枯れ相場の時期に戻ってしまった。

 1月のSGショック、3月のベアーショック、そして7月の下げと、その度に施策がうたれた後に出来高はそれなりに増加したのであるが、今回は一気に減少してしまった。この点についてかなりヒアリングをしたのであるが、「基本的に買い戻し玉はあっても、(ロスカット等に触れた)急がなくてはならない玉は先週末のようには出ていない」とのことである。これから粛々と行うだけで時間的に急いでいる状況にないようである。これまでの1日の出来高の十分の一以上が信用売り・カラ売りによって出来ていたこともあり、今回の規制が逆に出来高を小さくしてしまっている面もある。

 また、もうひとつの問題は、日本のバブル期の最終局面のように銀行に公的資金が直接投入されることを、次に市場(報道)が催促し始めているということであるが、これが実現される可能性は現状では非常に低い。この点において不良債権の切り離しとは関係なく金融機関(銀行)の倒産がまだ続くという見方を現状否定することはできない。実際にスプレッド市場の落ち着きはまだ見られず、銀行間の疑心暗鬼が生む貸し渋り(資金融通拒否)が現在の米国では改善されていない。そして、今回の施策が大きな財政赤字を生むことからドル安論議が高まっており、法案が可決されても、そのことが大きく株価を押し上げる状況にはないと言わざるを得ない。

 この閉塞感はすぐに日本市場にも伝播している。配当取りを終え、今月末のドレス期待もあるが、来週からの10月相場も閉塞感の強いボックス相場になってしまいそうだ。8月中旬以降出来高が小さくなった市場で説明力があったのが、結局、先物と裁定の動向。日経平均の週末値の上昇・下落と弊社が計測している、金額ベースでの「3社先物+裁定」の動向は先週のタフな相場でもやはり同じ方向であった。日経平均が▲293円で両者合計金額は▲320億円。この相関はもう二ヵ月間も崩れていない。そして、昨日、一昨日については3社以外の外資系証券の225ザラ場(ラージ)の動きも大きく市場に影響を与えている。昨日などはNEが大きく傾きを見せたのはザラ場のJNET(クロス)とイブニングのラージであり、ザラ場ラージの動きは他社の影響が大きかった印象を受ける。そして裁定取引であるが、6月のメジャーSQに続いて9月のメジャーSQで大きく残高を減らし、その後もさすがに先週金曜日は増加したものの、全体の印象としては買い残を増加させる動意に欠けている。10月といえば米国の投信決算が集中する月。さすがに基準価格を大きく上昇させている投信が少ないため、タックス・ロスと呼ばれる損出し圧力は例年に比べて強くはないが、どちらに転んでも買いの材料ではない。ヘッジファンドの決算を控えてまたも株式現物に対する動意の小さな相場が展開する可能性が高い。

2008年9月19日 (金)

080919本気の封じ込めが始まる

     耳を澄ませば「シャキーン」「シャキーン」

世界中で刀を抜く音が聴こえる。

 昨日の夕刊に出ていたことを先ほど友人との電話で知った。いつもこの記者の内容を纏め上げる力には感服するが、ブログをご覧頂いている方は、あの前提に「それまでの『上からだけ取る(上からだけ叩く)』というストラテジーを昨日の寄り前に終了させた」ことがあることをご理解頂けていると思う。

 しかしハードな週であった。特に朝の4時からNYの引けまでのボラティリティーはかつて経験したことのないほどだ。始まりは先週金曜日。リーマン株が買い戻されてダウ160ドル急伸。AIGのブリッジローン決定前日は150ドルの急伸。翌日は200ドルの再下落。そして今朝は400ドルの暴上げ。。。連休中を除いてこの間の私の睡眠時間は合計で6時間。さすがに引けたら会議室で少し寝る。そして思う。今週はいずれ振り返ったときに「歴史的な週」となるであろう、と。

 刀は英国、ロシアでも抜かれた。「催促相場」が求めていたものは、2月まではアメ(利下げ)、3月は金融機関の自己資本拡充、そして5月以降がカラ売り規制であったことを述べ続けてきたが、やっと、それがなされた。リーマン破綻時の株式市場の下げは別にショックではない。破綻したのであるから株式市場が下げるのはおかしくない。しかしAIGの資金繰りがついたのに大下げをしたのはショックであった。米国市場は基本的に素直である。施策や経済指標に対する反応は例え一時的であれ、素直であり続けてきた。それがAIGでの下げ。。。ショックを受けて当局がやっと本気になり、そして刀を抜いた。初めから当局は市場が催促しているものをきちんと認識していたのである。少し感無量であった。

今回、なぜベアースターンズを救済合併させたのにリーマンは潰したのか、カラ売り規制をここまで引っ張ったか。全てはヘッジファンド業界に対する弱腰な米国当局の姿勢にある。リーマンになくてベアーにあったもの。それはプライムブローカレッジである。ヘッジファンドは証券会社のプライムブローカー業務からカラ売りの玉を借りるとともに、ファンドのお金の大半はトラスティー(信託銀行と考えてください)から実はプライムブローカーである証券会社に移っているのである。日本の投資信託でいえば、信託銀行にお金があって保全されていると投資家が思っていても、実際はカラ売りの担保または現物決済の関係上、証券会社にその資金が移管されているようなものである。証券会社が潰れた場合に混乱の中その資金がどのような扱いを受けるかを考えれば、潰せない理由がお分かり頂けるであろう。そして、ヘッジファンドとは、何かを売っているから“ヘッジ”ファンドなのだということである。7/16以降一瞬だけSECのコックス議長のコメントとして流れた「カラ売り規制銘柄の拡大」が消えたのも、ヘッジファンド業界の猛反対であった。米国で2大プライムブローカーといえば、GSとモルガンスタンレー。世界的にみてもこの両巨頭の地位は揺るがない。そして、ポールソン財務長官はそのGSの出身者である。

 今回のパニックは昨日も書いたが、つい2週間前のドル高時施策を採っていれば避けられたものである。リーマンも潰れることはなかった。小林も書いていたが、業績悪化やサブプライム関連の評価損が拡大して潰れたわけではない。資金繰りがつかなかっただけである。疑心暗鬼になって資金が融通されなくなり破綻した日本の金融機関と同じ。そして、今度はベアーになくてリーマンにあったものであるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が新たな火種となってしまった。

そして、ドル安、商品高である。このふたつはなんとしても押さえ込み、金利政策のボールを当局は絶対に放してはならない。そのためには仕事をしていないCFTCの尻を叩くべきである。ここ1週間の金先物の売買状況を出させるだけでも充分な効果がある。7/5の日経新聞朝刊のサミット要旨から7/16のカラ売り規制までの間に商品市場に何が起きたかを以前書いた。思い出して欲しい。商品の中で一番初めに反応するのは何であったか、何を齧っていたネズミと私が最初に反応したかを。あの文章を再度読めば現在の金市場を私がどう考えているかお分かり頂けると思う。金に関するレポートは今週に入っても出され続けているらしい。一緒に銅、ニッケルについても書いて欲しいものだ。ここで金を買おうかという気持ちになっている人は、ITバブルが弾けた後、2月から4月の間に再度情報通信を買う気になった人かもしれない。ホリエモンショックの後に再度小型株を買った人、今年に入って中国株ファンドを買った人、古くはNTTの2回目の政府放出に応募した人、つい最近テレビで原油とIT株相場のチャートをなぞって説明した人も、皆同じカテゴリーに分類される。「すごろくがあまりうまくない人チーム」

ドル安の流れを食い止めるために、繰り返しになるがFRBはバランス・シートの拡大に躊躇しては絶対にならない。パンパンに膨らませるつもりで行うべきである。思い出されるのは5年ほど前に当時FRBの理事からCEA(大統領経済諮問委員会)の委員長となったバーナンキ現FRB議長が、日銀のバランス・シートについて痛烈な批判を繰り返したことである。小泉政権下で「プライマリー・バランス」という言葉が本来と違う意味で使われていた頃(現在もそのまま)、金融学会の招きで日本において講演した際に、氏は「流通している日銀券額以内に国債発行額を抑えるという、法律でもなんでもない非公式ルールがあることはナンセンスだ」と切って捨ててみせた。バランス・シートがリスクを抱えた際の恐さをきちんと認識していたのである。さすがにハーバード大学に1600点中1595点で入学した人間はすごいと関心しきりであった。今、氏はそれを実行すべきである。パンパンに。麻生さんもイザとなったら白川さんに言って同じことをするかもしれない。もっとも麻生さんが非公式ルールの存在を知っているかどうかは微妙であるが。。。

 話を戻す。今回のカラ売り規制以外の施策について。

6カ国中央銀行(米除いて5カ国)の総額1800億ドルのスワップ協定。高評価。これは民間金融機関の資金繰りに加えて、上記国債発行にも大きく寄与する。日本がこの協調に加わるのは初めて。欧米がクローズしているアジアタイムを実質的に日本はカバーすることになるが、白川さんには「いざとなったら外貨準備をつぎこみます」くらいのことを言って欲しかった。注目すべきは当然、ドル・円の直先スプレッド。3ヶ月物で1ドルあたり80銭以上というのはそのままドル不安を示している。これが50銭程度まで下がれば大成功。しかし、このスキーム、昨年秋にECBとスイス中央銀行が行ったもの。てっきり無くなったものと思っていたが、まだ残っていたことにビックリ。欧州の民間銀行とスイスの民間銀行はUBSの資本調達で名乗りを上げたのがどこであったかを思い出すまでもなく当然恐ろしく仲が悪い。しかし、中央銀行同士は無論別。円の次のキャリー通貨であるスイスの存在はやはり大きい。

400ドル上げの材料となった、ポールソン財務長官のRTC(整理信託公社)構想。まだ、正式なコメントは聞いていないが、この機関が無くなっていたことも知らなかった。因みに潰さずに会社存続前提の政府機関でRFC(復興金融公社)というのが大恐慌時に設立されたのが始まり。

尚、さきほど中国ファンドのことを書いたが、先月に書いた「2つのクライマックス」で述べた中国の施策として、利下げに続いて印紙税の免除、銀行株の買い支えなどが行われる見込みとの報道がされている。ヘッジファンドではH株等を使ったショート・ポジションを持っているものも多く買い戻しによる一時的なリターン・リバーサルの可能性がある。しかし、本国市場は現物市場。大型の政府放出株によって指数が形成されており、日本で例えるとすれば公募価格割れのNTTやドコモだらけの市場であり、持続性には疑問が残る。

一昨日「長くてよく分からない」というコメントを頂きました。すみません、はっきり言える部分とぼかす必要がある部分があります。もともと「何を買うべきか、売るべきか、上がるか、下がるか」を言うために始めたものでもなく、ただの市場月旦ならぬ日旦程度に思っていて下さい。頂くコメントを読んでいつも思うのは、やはり勉強熱心な個人投資家が多いのだということ。負けずに勉強しなくてはと思います。今日は敢えて今まで使ってきた言葉を散りばめました。すらすらお読みになった方は今まで長いことおつきあい頂いた方だと思います。本当に有難うございます。アクセス数を見ると始めた頃の数字を思い出してビックリすることがよくあります。物事には全て時間軸がありますが、筆圧をできるだけ維持しようと思います。深謝。

2008年9月18日 (木)

080918クラッシュ

     今までとは明らかに違う。昨夜のNYは完全なクラッシュ

     「催促相場」が催促してきた物をSECは与えた。

     「上からだけ取る」ストラテジーの終了。そして静観する。

昨夜の米国株式市場は完全な「クラッシュ」。この言葉を当ブログで使うのは初めてである。クラッシュは短期金融市場での急激なボラティリティーの高まりやスプレッドの動揺も伴う。

6/19の「先物ヘッジ宣言」以降のストラテジーにおいて、特に8/12のカラ売り規制解除後のストラテジーとして「上かららだけ取る」ということを述べてきた。それは7/16の19銘柄のカラ売り規制発動後にここで有効策として書いた「銘柄数の拡大、期日の延長」が行われずに8/12を迎えてしまったことに起因していた。これについて、「催促相場」が「催促」している本質はGSE問題やリーマンのことではなく、「SECがカラ売り規制という需給に刀を抜く姿勢を示すことである」とも述べた。

 そして、昨夜、その刀は唐突に抜かれた。これはさすがに全員一致で金利政策の変更を見送った翌日であり、「緊急利下げ」を行うわけにもいかない状況の下、昨夜の動きを危機的状況(パニック・クラッシュ)であると認識したということである。催促相場が催促したものをSECが与えた以上、私の「上からだけ取る」というストラテジーはここで終了することとする。そして、静観する。

ここからは現況の分析。

 しかし、カラ売り規制の遅れによって、当局は株式市場だけでなく、CDSや今朝モーニングサテライトでも紹介されていたTEDスプレッドをも安定させる責務を負ってしまった。まずは、FEDのバランスシートを大きく拡大させるとともに自身のキャッシュ確保を図らなくてはならない。緊急の短期国債の発行などというレベルではなく2011年以降にその権限が与えられることとなっているFEDの銀行準備金に対する付利行為(詳細はお調べください)の前倒し解禁などが必要である。市場がFEDのバランスシート自体を疑問視することは避けなくてはならない。これは、再度のドル不安を招くことから、繰り返しになるが、絶対に避けなくてはならない。つい最近までのドルが堅調であった際にカラ売り規制を行っていれば、この問題は回避できたはずである。

 また、CFTCによる監視姿勢を明確に打ち出すことによって商品市場が再度上昇することを抑え込むことも必要不可欠である。金利政策を打つための素地は確保しておかなくてはならない

 最悪のシナリオは今回のカラ売り規制が株式市場の動揺を止められないことであるが、その際には、先週述べた数少ない打てる手である、「欧米同時利下げ」などの金利政策や自動車産業への資本投入もほんとうに瞬間的な効果しかもたらさない可能性がある。次の一手は「080722米国市場コメント_大恐慌の亡霊が笑ってる」で述べたアップティック(ダウンティック)ルールの復活しか残されていない。

日本市場は本日、信用の投げが加速するものと思われる。望まない形で13500円から上で作った信用買いの残高は圧縮されるであろう。また、もうひとつ懸念としてあるのが、リーマンの先物の建玉である。昨日の日経新聞の建玉数字で気がつかれた方も多いと思うが、先週金曜日(SQ日)の建玉で12月限ラージ買い方筆頭がリーマンの+15747枚である。(ミニ先12月限はラージ換算▲23.9枚の売り)。リーマンの建玉について、顧客分は他の証券会社に建玉を移管して通常の売買が行われるが、リーマン自身の自己ポジションについてはクリアリング機構が指定した業者を通じて反対売買のみを行うことが決められている。この建玉のうち、どれくらいがリーマンの自己ポジションなのかは無論分からないが、今までの建玉の推移や、また(先週の急落時にここで解説した)オプションの傾きを持ったうえでの先物売買動向を見てきた市場参加者のなかには「救済されることを前提としたアウトライトな買いであったのでは?」という意見が根強く、昨日の日中の日本市場の弱さの一因と考えることを否定する根拠はない。(因みにリーマンのオプションの建玉(10月限)は、117プット▲1枚、120プット+55枚買い、125プット+819枚買い、120コール▲79枚売り、125コール+199枚買い、127コール+1600枚買い)

2008年9月17日 (水)

080917「48時間」「24時間」

 営業日数日でここまで市場のコンセンサスとは変わるものなのであろうか。といっても株価動向の話ではない、金融政策のことである。先週末にリーマンについて書いた際に「利下げ」のことを述べたが、先週水曜日に日経クイックに書いた際の私の文章には「誰も言っていないが・・・」と前置きが必要で、クイックの人が後からLIBOR(ロンドン)の先物の数字を送ってくれて「微妙に可能性が出てきていますよ」と慰めてくれたほどであった。

 それが、昨夜のFOMC開催直前の市場調査では75%以上の米国エコノミスト、ストラテジストが「利下げ」を見込んでいたという。私の考えは先週来書いてきたように「金利変更なし。据え置き」であったが、昨日、全員一致で「据え置き」を決定した後の米国市場では、それらのエコノミストによるFRBバッシング・コメントが吹き荒れた。米国の金融市場で現在「48時間」というキーワードが流行っている。リーマンを巡る当局主体の話し合いが行われた時間のことを指すこの言葉をして、「FRBは48時間が招いた大きな混乱から何も学んでいない」という主張が主である。

 この主張は明らかにおかしい。金利政策は何も金融機関救済のために行われるものではない。金融政策は基本的に金利という水準の変更を差す場合が多いが、量的な部分も含めて政策であり、FRBは6%にまで瞬間跳ね上がったFFレートを受けて2日間で1400億ドルもの資金供給を行っており、量的な政策によって刹那的な金融不安のショックを防いでいる。

 そして、今夜7兆円を超えるAIGの資金決済を迎える。今度は「24時間」である。今朝、日本市場の寄り前にNYタイムス紙(電子版)の「FRBがAIGに対して850億ドルのブリッジローンを行い、80%程度の株式をワラント形式で取得する予定」と報じ、CNBCがその前に報道していたローン金額と同額であったことから信憑性が高いと市場では言われている。また、何の根拠か「投入なし」という根強い意見を主張する向きもあるが、こればかりは分からないし、判断やコメントを入れることもできない。丁半バクチを薦める訳にはいかない。

 どちらにせよ、これで、リーマンとAIGという喫緊の課題に答えが出され、GSに加えてモルガン・スタンレーも1日早めて決算を発表したこともあり、次のステージに市場は向かう。

 次の注目点はリーマンの話し合いの後半部分で持ち上がった、次の金融不安に対処するために金融機関が7兆円を超える資金を拠出しあうというスキームに対して今後当局がどのような態度に出るかではないかと、これまた勝手に思っている。今回、個別案件であるリーマンに対しての公的資金の投入を当局は行わなかったが、このファンドに対する資金供給の可能性は充分にある。現在の7兆円という金額は今夜のAIGの資金繰りを引き合いに出すまでもなく、やはり小さい印象を受けてしまう。

 そして、もうひとつの注目点はリーマンのCDSである。昨日も書いたが、CDS市場は全体で7兆円とも一説では9兆円とも言われている。サブプライム関連全体の損失を100兆円まで意識し始めた市場にとってその金額が大きいか小さいかは見方が分かれるところであろうが、1金融機関の決算においてリーマン絡みのCDS評価損の数字が悪影響を及ぼし、市場に伝播する可能性は捨てきれない。

 尚、話は逸れるが先月「2つのクライマックス」で述べたもうひとつのクライマックス、中国の利下げが昨日ひっそりと行われた。やはり軸足は「景気」に置かれた。

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