2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« ◇080919 前場概況◇ | トップページ | 080919商品市況 »

2008年9月19日 (金)

080919本気の封じ込めが始まる

     耳を澄ませば「シャキーン」「シャキーン」

世界中で刀を抜く音が聴こえる。

 昨日の夕刊に出ていたことを先ほど友人との電話で知った。いつもこの記者の内容を纏め上げる力には感服するが、ブログをご覧頂いている方は、あの前提に「それまでの『上からだけ取る(上からだけ叩く)』というストラテジーを昨日の寄り前に終了させた」ことがあることをご理解頂けていると思う。

 しかしハードな週であった。特に朝の4時からNYの引けまでのボラティリティーはかつて経験したことのないほどだ。始まりは先週金曜日。リーマン株が買い戻されてダウ160ドル急伸。AIGのブリッジローン決定前日は150ドルの急伸。翌日は200ドルの再下落。そして今朝は400ドルの暴上げ。。。連休中を除いてこの間の私の睡眠時間は合計で6時間。さすがに引けたら会議室で少し寝る。そして思う。今週はいずれ振り返ったときに「歴史的な週」となるであろう、と。

 刀は英国、ロシアでも抜かれた。「催促相場」が求めていたものは、2月まではアメ(利下げ)、3月は金融機関の自己資本拡充、そして5月以降がカラ売り規制であったことを述べ続けてきたが、やっと、それがなされた。リーマン破綻時の株式市場の下げは別にショックではない。破綻したのであるから株式市場が下げるのはおかしくない。しかしAIGの資金繰りがついたのに大下げをしたのはショックであった。米国市場は基本的に素直である。施策や経済指標に対する反応は例え一時的であれ、素直であり続けてきた。それがAIGでの下げ。。。ショックを受けて当局がやっと本気になり、そして刀を抜いた。初めから当局は市場が催促しているものをきちんと認識していたのである。少し感無量であった。

今回、なぜベアースターンズを救済合併させたのにリーマンは潰したのか、カラ売り規制をここまで引っ張ったか。全てはヘッジファンド業界に対する弱腰な米国当局の姿勢にある。リーマンになくてベアーにあったもの。それはプライムブローカレッジである。ヘッジファンドは証券会社のプライムブローカー業務からカラ売りの玉を借りるとともに、ファンドのお金の大半はトラスティー(信託銀行と考えてください)から実はプライムブローカーである証券会社に移っているのである。日本の投資信託でいえば、信託銀行にお金があって保全されていると投資家が思っていても、実際はカラ売りの担保または現物決済の関係上、証券会社にその資金が移管されているようなものである。証券会社が潰れた場合に混乱の中その資金がどのような扱いを受けるかを考えれば、潰せない理由がお分かり頂けるであろう。そして、ヘッジファンドとは、何かを売っているから“ヘッジ”ファンドなのだということである。7/16以降一瞬だけSECのコックス議長のコメントとして流れた「カラ売り規制銘柄の拡大」が消えたのも、ヘッジファンド業界の猛反対であった。米国で2大プライムブローカーといえば、GSとモルガンスタンレー。世界的にみてもこの両巨頭の地位は揺るがない。そして、ポールソン財務長官はそのGSの出身者である。

 今回のパニックは昨日も書いたが、つい2週間前のドル高時施策を採っていれば避けられたものである。リーマンも潰れることはなかった。小林も書いていたが、業績悪化やサブプライム関連の評価損が拡大して潰れたわけではない。資金繰りがつかなかっただけである。疑心暗鬼になって資金が融通されなくなり破綻した日本の金融機関と同じ。そして、今度はベアーになくてリーマンにあったものであるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が新たな火種となってしまった。

そして、ドル安、商品高である。このふたつはなんとしても押さえ込み、金利政策のボールを当局は絶対に放してはならない。そのためには仕事をしていないCFTCの尻を叩くべきである。ここ1週間の金先物の売買状況を出させるだけでも充分な効果がある。7/5の日経新聞朝刊のサミット要旨から7/16のカラ売り規制までの間に商品市場に何が起きたかを以前書いた。思い出して欲しい。商品の中で一番初めに反応するのは何であったか、何を齧っていたネズミと私が最初に反応したかを。あの文章を再度読めば現在の金市場を私がどう考えているかお分かり頂けると思う。金に関するレポートは今週に入っても出され続けているらしい。一緒に銅、ニッケルについても書いて欲しいものだ。ここで金を買おうかという気持ちになっている人は、ITバブルが弾けた後、2月から4月の間に再度情報通信を買う気になった人かもしれない。ホリエモンショックの後に再度小型株を買った人、今年に入って中国株ファンドを買った人、古くはNTTの2回目の政府放出に応募した人、つい最近テレビで原油とIT株相場のチャートをなぞって説明した人も、皆同じカテゴリーに分類される。「すごろくがあまりうまくない人チーム」

ドル安の流れを食い止めるために、繰り返しになるがFRBはバランス・シートの拡大に躊躇しては絶対にならない。パンパンに膨らませるつもりで行うべきである。思い出されるのは5年ほど前に当時FRBの理事からCEA(大統領経済諮問委員会)の委員長となったバーナンキ現FRB議長が、日銀のバランス・シートについて痛烈な批判を繰り返したことである。小泉政権下で「プライマリー・バランス」という言葉が本来と違う意味で使われていた頃(現在もそのまま)、金融学会の招きで日本において講演した際に、氏は「流通している日銀券額以内に国債発行額を抑えるという、法律でもなんでもない非公式ルールがあることはナンセンスだ」と切って捨ててみせた。バランス・シートがリスクを抱えた際の恐さをきちんと認識していたのである。さすがにハーバード大学に1600点中1595点で入学した人間はすごいと関心しきりであった。今、氏はそれを実行すべきである。パンパンに。麻生さんもイザとなったら白川さんに言って同じことをするかもしれない。もっとも麻生さんが非公式ルールの存在を知っているかどうかは微妙であるが。。。

 話を戻す。今回のカラ売り規制以外の施策について。

6カ国中央銀行(米除いて5カ国)の総額1800億ドルのスワップ協定。高評価。これは民間金融機関の資金繰りに加えて、上記国債発行にも大きく寄与する。日本がこの協調に加わるのは初めて。欧米がクローズしているアジアタイムを実質的に日本はカバーすることになるが、白川さんには「いざとなったら外貨準備をつぎこみます」くらいのことを言って欲しかった。注目すべきは当然、ドル・円の直先スプレッド。3ヶ月物で1ドルあたり80銭以上というのはそのままドル不安を示している。これが50銭程度まで下がれば大成功。しかし、このスキーム、昨年秋にECBとスイス中央銀行が行ったもの。てっきり無くなったものと思っていたが、まだ残っていたことにビックリ。欧州の民間銀行とスイスの民間銀行はUBSの資本調達で名乗りを上げたのがどこであったかを思い出すまでもなく当然恐ろしく仲が悪い。しかし、中央銀行同士は無論別。円の次のキャリー通貨であるスイスの存在はやはり大きい。

400ドル上げの材料となった、ポールソン財務長官のRTC(整理信託公社)構想。まだ、正式なコメントは聞いていないが、この機関が無くなっていたことも知らなかった。因みに潰さずに会社存続前提の政府機関でRFC(復興金融公社)というのが大恐慌時に設立されたのが始まり。

尚、さきほど中国ファンドのことを書いたが、先月に書いた「2つのクライマックス」で述べた中国の施策として、利下げに続いて印紙税の免除、銀行株の買い支えなどが行われる見込みとの報道がされている。ヘッジファンドではH株等を使ったショート・ポジションを持っているものも多く買い戻しによる一時的なリターン・リバーサルの可能性がある。しかし、本国市場は現物市場。大型の政府放出株によって指数が形成されており、日本で例えるとすれば公募価格割れのNTTやドコモだらけの市場であり、持続性には疑問が残る。

一昨日「長くてよく分からない」というコメントを頂きました。すみません、はっきり言える部分とぼかす必要がある部分があります。もともと「何を買うべきか、売るべきか、上がるか、下がるか」を言うために始めたものでもなく、ただの市場月旦ならぬ日旦程度に思っていて下さい。頂くコメントを読んでいつも思うのは、やはり勉強熱心な個人投資家が多いのだということ。負けずに勉強しなくてはと思います。今日は敢えて今まで使ってきた言葉を散りばめました。すらすらお読みになった方は今まで長いことおつきあい頂いた方だと思います。本当に有難うございます。アクセス数を見ると始めた頃の数字を思い出してビックリすることがよくあります。物事には全て時間軸がありますが、筆圧をできるだけ維持しようと思います。深謝。

« ◇080919 前場概況◇ | トップページ | 080919商品市況 »

井上ストラテジー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ◇080919 前場概況◇ | トップページ | 080919商品市況 »