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2008年9月 8日 (月)

080908米国市場コメント

米国当局がGSE2社に対する救済案を発表した。先週の土曜日(9/6)の米国株式概況の最後に触れたWSJの記事が正しかったことになる。内容については今朝の日経新聞で報道されていることもあり詳しく述べないが、8/21に書いた「080821二つのクライマックス」のその部分を振り返ってみる。

「二つのクライマックスが近い。ひとつは米国GSE2社への公的資金投入、そしてもう一つは中国の金融緩和である。早合点しないで欲しい。だから株が上昇するということを述べたいわけではない。 GSE2社への公的資金投入は避けられない。“その日”が近づいていることは確かである。根拠は証券会社や金融機関のレポートではなく、雑誌、新聞、他のメディアがこぞってこのことを連日報道しているということ。先週末のバロンズ誌を皮切りに今週に入りNYタイムズ紙、WSJ紙がこぞって「いつか?幾らか?」を論じている。米国の施策は金融機関のレポートではなくその他のメジャーな報道(世論の高まり)を受けて行われるきらいがある。これらの報道を受けて現在の米国市場が“催促相場”となっていることは確かである。ファニーメイの“その名のとおり”マッドCEOがこの公的資金の投入を拒否(否定)しているが、その姿はバブル崩壊後、保身と責任追及を恐れていた邦銀幹部の姿にダブる。「資金導入を市場は織り込んでいる」と言っても、それは債券の世界の話である。リーマンのレポートが出た直後からGSE2社の債券がデフォルトをおこすことはないと私は主張してきたが、そのスプレッドは現在完全に落ち着いている(無論、弁済が劣後する債券等は含まない)。つまり、デット(借り入れの部分)については公的資金の投入を織り込んでいる。問題はエクイティー(資本、株式)の部分である。既存の株主価値がどうなるのか(といっても今朝書いているように時価総額は今年に入り既に90%毀損しているが。。。)ということである。もっと、有体に言えば、「上場が維持されるのか、されないのか」の1点である。日本のバブル崩壊後を思い出してみよう。金融不安が最終的に加速したのは、“半分政策銀行”と思われていた、日債銀、長銀が破綻し、異例中の異例である「上場即時廃止、整理ポスト行きもなし」という措置が取られたときであった。1ヶ月後に提示された、信用取引の決済株価は無論、ゼロ円。この超法規措置によって金融不安はクライマックスを迎えたのである。カラ売りをしていたヘッジファンドは大喜びで、「次はどこか?」と信用不安のある銀行をカラ売りしまくったのである。これが劇的に潮流が変わったのが、2003年5月のりそな銀行に対して公的資金が投入された(自己資本を国内業務に必要な基準である4%に回復させるため)ものの、債務超過ではないという理由で上場が維持されたときであった。ゴールデンウイークに「公的資金投入」が決定されたこともあり、休み明けに出社すると外国人のヘッジファンドからたくさんの「やった!」というメールが届いており、苦虫を潰しながら読んだことは忘れられない。あの時に当時の担当大臣であった竹中平蔵氏が日銀総裁と喧嘩してでも上場を守ったことが、その後のヘッジファンドの買戻しを招き、日本市場は大底をうった形となったのである。現在のGSE2社の立場がちょうど当時の日債銀、長銀に該当する。もし、上場廃止となれば、「半分政府系の金融機関でさえ上場廃止となったのであるから、他の民間銀行の破綻は加速する」という見方に流れは傾いてしまう可能性が高い。このようにGSE2社に対する施策において鍵となるのは、金額ではなく、上場が維持されるのかどうかであるということだということを意識してこれからの推移を見守る必要がある。そして、時期であるが、昨日は「GSE幹部と当局がミーティングを近日中に持つ見込み」というニュースが流れたが、一方で夏休みが明けてレーバーデー(9/1)を過ぎた頃ではないかという見方も浮上している。遅い。それまでに“催促相場”が小さなクラッシュをもたらす可能性も排除できないというよりも起きる可能性が高いと考える。そして、立ち返るが鍵は「上場維持か否か」である。“催促相場が催促しているものは何か?”それは決してGSE2社に対する公的資金の投入ではない。需給に対してSECが再度、刀を抜くことなのである。つまりは「カラ売り」に対する規制である。それまで催促は続く。竹中氏が毅然として「債務超過に陥ってなければ上場は維持する」と言い放ったことは「カラ売り」という需給に対して刀を抜く姿勢を日本が見せたことであったのだ。」

結果的に、やはり公的資金の投入は「遅かった」。9/1のレーバーデー以降にずれ込んだことによって、先週米国市場はミニ・クラッシュを引き起こしてしまった。ここまで時期が延びたのは、民主党大会、共和党大会の閉会(大統領候補の確定)を待ったのであろう。日本のバブル崩壊時に比べての対応の迅速さを評価する報道が多いが、最悪であった日本の対応と比べても何も意味は無い。日々の市場に触れている者にとって、その対応は、今回も「危機的状況になって初めてとられた」と感じるのが正直なところである。

「りそな」のように上場が維持されることとなり、まずは金融株の買い戻しが起きる可能性が高い。そして、次の注目は以前にも書いたようにリーマンの資本増強である。しかし、先週の下げは金曜日に述べたように、決してカラ売りが煽動したものではない。ファンドの実需と言ってよい売りが招いたものである。事実先週米国の金融株は逆に買い戻しによって上昇している。つまり、今回の措置、また、リーマンの資本増強に関するニュースという2つの当面のヤマを超えたとしても、それが米国株の上昇の基点となるとは現在判断することは全くできない。あくまでも、市場が催促しているものは、繰り返しになるが、「カラ売り規制」という需給に対して刀が抜かれることである。

日本市場もこの2つのヤマによって一時的に指数が上昇することがあっても、その持続性には大きな疑問符を打つ。信用の重いゾーン、期日、ファンドの決済、、、ストラテジーに何も変化はない。今回のGSEに対する施策が1回目の売り場となるのでないかと考える。そして、ひとつこれから注意して見て欲しいことを述べる。それは米国市場のイントラデーの動きである。

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