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2008年8月21日 (木)

080821二つのクライマックス

 二つのクライマックスが近い。ひとつは米国GSE2社への公的資金投入、そしてもう一つは中国の金融緩和である。早合点しないで欲しい。だから株が上昇するということを述べたいわけではない。

 GSE2社への公的資本投入は避けられない。“その日”が近づいていることは確かである。根拠は証券会社や金融機関のレポートではなく、雑誌、新聞、他のメディアがこぞってこのことを連日報道しているということ。先週末のバロンズ誌を皮切りに今週に入りNYタイムズ紙、WSJ紙がこぞって「いつか?幾らか?」を論じている。米国の施策は金融機関のレポートではなくその他のメジャーな報道(世論の高まり)を受けて行われるきらいがある。これらの報道を受けて現在の米国市場が“催促相場”となっていることは確かである。

 ファニーメイの“その名のとおり”マッドCEOがこの公的資金の投入を拒否(否定)しているが、その姿はバブル崩壊後、保身と責任追及を恐れていた邦銀幹部の姿にダブる。「資金導入を市場は織り込んでいる」と言っても、それは債券の世界の話である。リーマンのレポートが出た直後からGSE2社の債券がデフォルトをおこすことはないと私は主張してきたが、そのスプレッドは現在完全に落ち着いている(無論、弁済が劣後する債券等は含まない)。つまり、デット(借り入れの部分)については公的資金の投入を織り込んでいる。

 問題はエクイティー(資本、株式)の部分である。既存の株主価値がどうなるのか(といっても今朝書いているように時価総額は今年に入り既に90%毀損しているが。。。)ということである。もっと、有体に言えば、「上場が維持されるのか、されないのか」の1点である。

 日本のバブル崩壊後を思い出してみよう。金融不安が最終的に加速したのは、“半分政策銀行”と思われていた、日債銀、長銀が破綻し、異例中の異例である「上場即時廃止、整理ポスト行きもなし」という措置が取られたときであった。1ヶ月後に提示された、信用取引の決済株価は無論、ゼロ円。この超法規措置によって金融不安はクライマックスを迎えたのである。カラ売りをしていたヘッジファンドは大喜びで、「次はどこか?」と信用不安のある銀行をカラ売りしまくったのである。これが劇的に潮流が変わったのが、2003年5月のりそな銀行に対して公的資金が投入された(自己資本を国内業務に必要な基準である4%に回復させるため)ものの、債務超過ではないという理由で上場が維持されたときであった。ゴールデンウイークに「公的資金投入」が決定されたこともあり、休み明けに出社すると外国人のヘッジファンドからたくさんの「やった!」というメールが届いており、苦虫を潰しながら読んだことは忘れられない。あの時に当時の担当大臣であった竹中平蔵氏が日銀総裁と喧嘩してでも上場を守ったことが、その後のヘッジファンドの買戻しを招き、日本市場は大底をうった形となったのである。

 現在のGSE2社の立場がちょうど当時の日債銀、長銀に該当する。もし、上場廃止となれば、「半分政府系の金融機関でさえ上場廃止となったのであるから、他の民間銀行の破綻は加速する」という見方に流れは傾いてしまう可能性が高い。

 このようにGSE2社に対する施策において鍵となるのは、金額ではなく、上場が維持されるのかどうかであるということだということを意識してこれからの推移を見守る必要がある。そして、時期であるが、昨日は「GSE幹部と当局がミーティングを近日中に持つ見込み」というニュースが流れたが、一方で夏休みが明けてレーバーデー(9/1)を過ぎた頃ではないかという見方も浮上している。遅い。それまでに“催促相場”が小さなクラッシュをもたらす可能性も排除できないというよりも起きる可能性が高いと考える。そして、立ち返るが鍵は「上場維持か否か」である。“催促相場が催促しているものは何か?”それは決してGSE2社に対する公的資金の投入ではない。需給に対してSECが再度、刀を抜くことなのである。つまりは「カラ売り」に対する規制である。それまで催促は続く。竹中氏が毅然として「債務超過に陥ってなければ上場は維持する」と言い放ったことは「カラ売り」という需給に対して刀を抜く姿勢を日本が見せたことであったのだ。

 日債銀、長銀というと私は草笛光子が出ていたテレビのCM「にっさいぎんの、ワリシン。お求めは山一證券で!」を思い出してしまう。(古い。ものすごく古い。恐縮。)この2社とも既に無いが、当時個人の金融債に対する投資熱は非常に高かった。1年物のワリ債(割引債券)は無記名(今にしてみると脱税促進のようで恐ろしい)であったこともあり、証券会社にとっては安定的に売れる商品であった。また、5年利付き金融債(以下利金)も人気が高かった。この5年利金、80年代に入りバブルが崩壊して金利が低下するまでの期間をならしてみると、平均的なクーポンがほぼ5%前後であった。

 つまり、現在は考えられないが、「5年、5%」という金利が一般的であり、これが日本の個人資産を形成する礎の金利であったのだと考えられる。この「5年、5%」という金利水準がそのままあてはまるのが、現在の中国である。中国政府がインフレ率をこれ以下に抑え込みたいのはこの実質金利にも配慮したものであるといえる。しかし、その中国政府のスタンスが明らかにここのところ、インフレよりも「景気減速回避」に軸足を置きつつある。なんらかの金利政策は必ずや取られるであろう。近々に、である。昨日、上海株はその期待から大きく買われた。施策実行後は上昇する局面もあろうかと思う。しかし、例え指数が20%上昇したとしても、その後はまた下落基調に回帰すると思われる。

 今年の3月中旬以降の戻り相場のなか、寄せられたコメント(質問)で、実は一番多かったのが「中国株も戻っており、買いたいと思うがどうですか?」という内容であったが、私が送った答えは全て「アジア株に対する見方については春先に述べた下落基調継続を変更する気はありません。」であった。そして、現在も不変である。ヘッジファンドの資金の流れは「商品」「債券」「株式」間のキャッチボールであることを述べてきた。それでは、個人資金や機関投資家のアセット(資産)うちリスクを取る一部の資金についてはどうか?私は、「戻ることもできる“すごろく”」だと考えている。そして、そのすごろくで戻った者はいない。これについては明日述べる。

 日経新聞系の報道会社に日経QUICKがある。ここが配信するデリバティブズ・コメントという有料サービスに寄稿し始めて、早いものでもう10年の月日が経つ。先週の寄稿のタイトルは「中国、金クラッシュ!」である。五輪の話ではない。「ク」がついている。大証で中国株ETFが、そしてここでも紹介したように東証で外資ファンドの金ETFが上場して、両商品ともほどなく天井をつけている。祭りのあとの掃除ばかり日本の投資家はさせられているような気がする。

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