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2008年8月15日 (金)

080815NARサプライズ(米国市場コメント)

昨日の米国株市場は8時半に発表された7月のCPI(消費者物価指数)が市場予想の+0.4%に対して実値+0.8%であったことが嫌気されて重苦しい雰囲気のなかで始まった。カラ売り規制が解かれてからの2日間で再度金融株が売り基調であったことも市場心理を不安に傾けていたと思われる。このCPIについてはノーコメント。原油先物が現在よりも20%以上高かったときの数字を含んでいる。因みに6月のCPIは+1.1%であったことを考えれば再度1%以下の伸びに留まったと見ることもできる。前年同月比の数字についてもノーコメント。インフレ圧力は“足許”で高まっているかどうかが大きなポイントであり、過去の数字で方向を判断すると誤ることがある。そして、それはトレンドをなぞる動きが終わってインフレ圧力が転機にさしかかったときに多く示現する。今がその時であると判断する。ドイツの7月のCPIが前年同月比で+3.5%と上方修正されたことは若干の意外感があり、トリシェも唸っているかもしれないが、同様の理由でコメントは入れない。この考え方を支持しているのが債券市場。昨日は寄りこそ売られたものの、結局買われて10年米国債は3.888%の引けとなった。債券に与えられた“安全な時間”は長い。

 一昨日に発表された8月のメリルリンチのファンドマネージャー調査における日本株についてのアロケーションに関しての小さな記事をどこかで見たが、今回の調査において重要であったのはインフレと米国に対する見方の変化である。

 世界経済がリセッション入りしているという見方が四分の一まで上昇する一方で、インフレに対する懸念を示す数値(コアベースのインフレが低下する可能性を支持する数値)はここ8年間で最低の水準にまで急落した。7月のCPIを問題にしている場合ではないのだ。メリルリンチのストラテジスト・コメント「インフレは過去の話」。これは昨日このコメントのなかで述べた[それでは、「商品買い、株式売り」が再度大きなトレンドを伴う動きとなるかであるが、「商品買い」については20%以下の確率(「穀物」25%の確率、「金」「原油」10%以下の確率)、「金融株のカラ売り」については50%の確率と見ている。(買いや買戻しの需給と違い、カラ売りの需給を予測して、あんこだけでなく、たい焼きの頭から食べようとすることは非常に危険な行為である。初動での判断はあてっこでしかない。)]の前半部分と通底する。

  話を昨日の相場に戻す。不安に傾いていた市場心理を好転させたのがNAR(全米不動産協会)レポート。その中身であるが、4-6月期の中古住宅販売は前期比▲0.8%となったが、増加した州が13と全米の四分の一近くにのぼったというもの。しかも、中古住宅販売価格の中央値が前期比で+5%と大きく上昇している。プラスに転じるのは5四半期ぶりのこと。ここで思い出して欲しいのが、先週の「080808米国市場コメント~グリンスパン発言から1週間~」での一節。[しかし、この動きに一旦歯止めをかけたのが、昨日の発表で皆がもっとも恐れていた6月の中古住宅販売(仮契約販売指数)。予想の▲1.0%が+5.3%はかなりのサプライズであった。これは昨夏の第一次サブプライムショック後にことの大きさを認識せずに市場が戻っていた昨年10月以来の数字。ゴールドマンはさっそく「中古市場が落ち着きを取り戻しつつある可能性を示している」とのレポート。。。]ケース・シラー住宅価格指数の前年同月比はまだ2桁のマイナスが続いているが、同指数の対毎月下落率は落ち着いている。少しずつであるが、実物である住宅に「価格」と「需要」の関係が戻りつつあることを感じる。

 そして、相場に勢いをつけたのがやはり金融ネタ。SIFMA(米国証券業金融市場協会)がGSE2社の大口ローン(通称:ジャンボローン)を限定的にではあるが、一部住宅ローン市場で流通させるというニュース。前述のとおりここ2日間で大きく下げていた(約▲8%下落)S&P金融株指数は+2.6%の上昇となった。しかし、カラ売り規制で30%上昇、解除後2日で8%下落、1日で2.6%戻す指数。。。実は、先週以降紹介していないが“金融ドンパチ”(金融機関による他の金融機関の収益予想の下方修正及びレーティング引き下げ)が再度起きている。そのなかでの方向感の無い動きが続いている。(昨日のコメントの後半部分)

 話を再度メリルリンチのファンドマネージャー調査に戻す。米国の景気について私は1-3月期、4-6月期と金融を除いた企業収益に対して一貫して「それほど悪くない」という姿勢を採り続けてきた。そして、それが今回の調査でファンドマネージャーの意識のなかにうまれつつあることを感じる。まずは、企業収益見通しで最も伸びが期待される地域で米国が2位となった。1位は無論新興国なのであるが、米国への期待が復活している。このことは通貨見通しでも見てとれる。ドルが過小評価されているとの回答が半数を超え、今後12ヶ月での通貨上昇・下落予想も63対10と差し引きで+53と大きなものとなっている。(先週述べた米国30年国債の入札結果はドルに対する信認行為である)因みに、この差し引き数字を6月から遡って列記すると、+36、+39、+31、+33。今回の8月調査で急増したことが分かる。原油下落とカラ売り規制による株価の安定はこのような意識変化をもたらすのである。現在、市場の米国景気の底割れ懸念は根強いものがある。連日のニュース報道もそうである。しかし、景気に株価が先行してきた歴史には、このようなファンドマネージャーの意識変化が世論に先行して生じてきたという背景があることも認識しておくべきだと思う。

企業収益予想といえばトムソン・ロイター社が有名であるが、同社の見込みはここのところ短期間で数字が大きく変化するので厄介なのであるが、それが金融セクターの見込みが大きく変化するからであると斟酌して数字を見ていくと、方向性としてはズレがなく予想してきたことが分かる。そしてその数字が第3四半期については5四半期ぶりに主要企業で増益に転じるとの見通しを示している。同社の見込みは7/1のクオーター入り日に既にプラス(前期比+13%弱)であった。金融機関の評価損拡大による最終利益の落ち込み見通しによって、どんどんその幅は小さくはなってきているが、先週末の時点でも+6%の見込みとなっている。ニュース等から感じてしまう米国の景気底割れ懸念を鵜呑みにするのは危険な時間帯に入ってきた。

再度、メリルリンチのファンドマネージャー調査。米国に対する見方の変化の一方で急速に日本株に対する関心が薄れているのが気になる。日本株の現在の配分比率のオーバーウェイトは22%に低下(7月30%、6月26%)、逆にアンダーウェイトは34%に上昇(7月28%、6月27%)している。両数字の引き算から6月、7月にやっとゼロ近辺のニュートラルにまで戻していた日本株の期待値(1月~3月が差し引き▲30%程度で推移していたことを考えればかなりのリカバリーであったのだが)が再度低下してしまったということである。これが現物株に対する見方。現物に対する動意が果たして来週以降戻るかというと、はなはだ不安である。裁定と先物の天下がまだ続く可能性が高い。

 映画「パルプ・フィクション」のような構成で恐縮です。

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