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2008年8月 6日 (水)

080806 FOMC声明文反応の違い

 まずは、マーケットメモを素に小林が起こしている今朝の米国株概況をお読み頂きたいが、ソシエテ・ジェネラルの決算が発表されたのは昨日の日本時間の午後2時過ぎであった。純利益が前年同期比で6割を超える減益となったことから、欧州市場での反応が非常に注目されたのであったが、その欧州株が総じて堅調で特に金融株の上昇(買戻し)が目立ったため、FOMC前にあのような上昇トレンドを米国株は描くこととなった。

 思い出して欲しいのは前回FOMC(6/25)のこと。翌日のストラテジーで声明発表からの1時間で、私が強く感じたことを述べた。その後も度々引用したこの時の文章の一部を再掲させて頂く。

【 しかし、昨日の声明、及びその後の1時間足らずの相場が二つの大きなインプリケーションを与えた。重要なことを述べる。一つは「債券」に“安全な時間”が与えられたということ(この“安全な時間”とは買って安心な時間という意味であるが、勝手に私が作った言葉なので、あまりよそでは使わないほうがいいです)である。先週末と昨日、金利先物がどのレベルまで利上げを織り込んでいるかを述べたが、現在、50%程度まで再上昇している次回(8月)の利上げ織り込み数値はこれから徐々に下落していくものと考える。~中略~「商品」「株式」間のキャッチボールに完全に「債券」が加わる、しかも一つ目の理由によってかなり中心的な受け手となる可能性さえあるということである。4月の終わりに「株式」と「原油」の逆相関が急激に高まりつつあることを述べたが、その後の経過はご覧のとおりである。~中略~今回、株式上昇のリスクシナリオとして「債券」に再度資金が向かうことを述べてきたので、この部分についてもコメントを加えなくてはならない。一時的に先物主導で連動性が高まるものと思われるが、「株式現物」のポーションを落として「債券」に振り向ける動きは限定的であると考えている。資金の中心も新たな円キャリートレードであろう。1-3月とはこの点が大きく違う。一時的な連動性の高まりの後、ミニクラッシュを経て株式が買い戻されるまでの期間限定の動きである。また、原油相場が下落基調となれば、「債券」とともに「株式」も玉の受け手となる可能性もある。この点もこれまでと違うところである。~中略~時間軸を考える。イメージは米国株式が7月初旬~中旬には底入れ、8月利上げなし、米国マクロ指標での住宅を除く底入れ感が出る、利上げは早くて9月。今回の声明文によってFRBは充分に市場との対話時間を持つことを示したと思われる。 (その後利上げについては年内なしと述べた) 

そして、昨夜も前回と同じく金利政策の変更なしとなったが、反応は大きく違うものとなった。FOMCのコメントについて前回と今回のニュアンスの違いは、それぞれの時点で市場へ配慮を行った結果であると考えている。

まずは前回(6/25)であるが、異例であった一連の“ドル防衛発言”を行い、「利上げ→ドル高→原油高封じ込み」という事前のシナリオがFOMC前2週間の経済指標の悪化によって利上げを見送らざるを得なくなったことを受けて、「インフレ圧力の存在(利上げの可能性残し)、景気悪化懸念は後退(利上げできなかった代わりに、利下げの可能性を否定)」と手詰まりとなったFRBが精一杯のリップサービスを行ったのであるが、今回は商品市場が壊れてくれたのでインフレ亢進リスクは薄れているものの(ここもとの物価指数について私がコメントを入れないのは商品市場が動揺を示す前、6月の数字であるから)、「ドル高政策の為にも利上げの可能性を捨てるコメントはできない」ので、その代わりに、株式市場、景気悪化懸念に配慮して「利下げの可能性も捨てていないコメントを入れる必要があった」のである。それが、「景気下振れリスクは幾分縮小した」という文言削除につながったと私は考えている。市場との対話時間を持つ姿勢をきちんとFRBは守っている。

これからの米国市場の動向について考察するうえで考えなくてはならないのが、この景気下振れリスクと株式需給であることは言うまでもない。

米国の企業決算であるが、私は1-3月期に続いて4-6月期も金融、住宅、自動車を除けば、事前の懸念よりは良い印象を受ける。7-9月期は減税効果の剥落による落ち込みが予想されているが、これから先のテーマはこの剥落と商品バブルの剥落との綱引きである。無論、政府部門支出が与えるGDP数値の落ち込みと後者が指標に与える好影響ではスピードが違うためV字の回復は望むことはできないが、金融、住宅を除いたミクロ指標の底割れは想定していない。しかし、マクロ指標としては雇用と住宅が市場の材料として注視されがちで、マクロとミクロの市場が感じる誤謬はまだ続くであろう。

そして株式市場であるが、月曜日にまだ金融株の買い戻し圧力が大きく存在することを述べたが、気になるのがSECの19銘柄のカラ売り規制がいずれ期日を迎えるということと、この延長が認められた際に銘柄数の拡大が見送られたということである。FRBは市場との対話時間を持つ姿勢を守っていると書いたが、3月、7月にFRB、SECが時間を待たずに対応策をまとめたことに対して私は評価を与えているものの、残念なことにそれらは全て「株式市場が大きく下落し、市場が催促するのを待って」まとめられたモノである。このようなところにも対話時間を持ってしまっている。SECコックス議長がここで述べた私案と同じくカラ売り規制銘柄数の拡大を示唆したものの、それが決定されなかったのはヘッジファンド業界の猛反対であった。そういえばポールソン財務長官はヘッジファンド向けのプライムブローカーとして1位、2位を争う証券会社の会長兼CEO出身である。

FRB、財務省、SECの期待していることは、これ以上需給に手を加えない状態で市場が買い戻しによって下値不安が薄れていくことであるのは確かである。しかし、19銘柄の期日が終わり9月の証券会社決算に向けて再度信用不安の広がりが起きて株価が下落した場合は再度需給に対して刀を抜く施策を打つものと考える。つまり、期待する展開となる場合はもちろんのこと、そうでない場合も株式市場の底割れはないと考えている。それほどカラ売り残は多い。

まとめると、米国株式市場はことある度に雇用と住宅関連材料で景気悪化懸念がスポットを浴びて下落するものの、買戻しの存在によって反発するボックス内の動きがまだ、続きそうである。しかし、月曜日の繰り返しになるが、米国市場においてサプライズな材料としてはネガティブ要因よりはポジティブ要因の方が起きる可能性が高いと考えている。昨日の急騰は、もしそのような材料が出た場合の反応を示唆しているものと思われる。(サプライズ材料の参照は「080804日本株ストラテジー2」)

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